スポンサーリンク
SF映画によく登場するホログラム、現在よく見かける技術ARと見た目はよく似ていますよね。
ホログラムとAR、いったい何がどう違うのでしょうか?そもそも、ホログラムとは、どういう技術を指すのでしょうか?
両方の技術を見比べて、両者の違いについて少し掘り下げてみましょう。
ホログラムって、どういうものなの?
私たちが普段イメージしているホログラムは、SF映画に出てくる立体的な映像が空中に浮かんでいるようなものではないでしょうか?
しかし、そもそもホログラムというのは、ホログラフィで作った三次元写真のことを指します。ホログラフィとは、波長・強度・位相の光の干渉縞を記録・再生する技術のことです。
(位相とは、光がやってくる方向を示す情報です。)
ホログラフィ=三次元の立体的な映像を記録・再生する技術
ホログラム=三次元の立体的な映像を記録した写真
ホログラムの例としては、紙幣やクレジットカードに印刷されたキラキラして虹色に変化する印刷部分がそうで、見る方向によって見え方が変わり、立体的に見えます。
本来のホログラムとは、物体から光の情報を記録した、三次元映像の再生が可能なものというわけです。
ホログラムの原理
1948年にGaborが、ホログラフィの基本原理を考案しました。
ホログラムでは、光の振幅と波長に加え「位相」を記録しますが、位相を記録するために、参照光という光源を使用します。物体を記録するための光と、この参照光が重なり合うと干渉縞という模様ができます。その結果、1つの記録媒体に物体像が立体として記録できる仕組みです。
再生する場合、記録するときに使用したのと同じ光を記録媒体に照射します。すると物体が記録されたときと同じ光が生じて三次元映像が生じます。
ホログラムを見るには、ヘッド・マウント・ディスプレイなどのデバイスをつけずに、そのまま肉眼で見ることができます。また、ホログラムはこのように立体的に映像が記録されているので、見る角度を変えれば、それに応じて立体像も変化して見えます。
ARとは、どういうもの?
AR「拡張現実」とは、現実の世界にCGなどの情報を加えて、現実の世界を広げる技術です。
現実世界をシースルーで見ながら、CGなどの映像を重ねるというイメージです。
ユーザーが何をどこから見ているのかをコンピューターで認識して、画像による認識を行ったり、複数のセンサーを組み合わせて認識したりして、位置を合わせて出力する仕組みがARです。
ですので、ホログラムとは基本的に全く違う技術を指します。
しかし、現在では一般に「ホログラム」という言葉をSF映画のような「空中に浮かんだ立体映像」や「専用のデバイスを使用せずに体験できる映像」という意味合いで使用されています。
このように、ホログラムのような表現をしたホログラムではない技術を擬似ホログラムといいます。
擬似ホログラムの例
透過スクリーンへの投影:
ステージなどに透明のスクリーンを設置し、映像を投影する手法です。
3Dでもホログラムでもないので、一部の方向からしかその映像効果が得られませんが、スクリーンのサイズなどカスタマイズでき、様々な表現方法を取ることができます。
ペッパーズ・ゴースト:
19世紀から使われている手品のトリックです。
舞台とは別に用意された場所に、投影したい物体を置きます。その物体に光が当たると、ガラスに光が映りこみ客席からは、物体が舞台にあるように見えるという視覚トリックを使用した仕組みです。
ARとホログラムの違い
ARは、現実世界にデジタルの映像をプラスする技術、ホログラムは光を記録、完全に近い形で立体映像を再生する技術、擬似ホログラムは擬似的にホログラムのような表現を作り出す技術です。
ARとホログラムは全く異なった技術であることはわかりました。
ARはスマートフォンを使用するなど、個人でデバイスが必要になるシステムのものが多く、一方擬似ホログラムは複数人で体験することができる技術です。
まとめ
ホログラムは、研究が進んでいるものの現在でも一般に気軽に使用できる技術ではありません。ホログラムは高い精度が必要なレーザー光を使用するので、特殊で大掛かりな機材が必要であること、トラブルに弱いという現状が一般に普及しない理由となっています。
しかし、ARと擬似ホログラム、フォログラフィーを組み合わせて活用している事例も登場し始めています。今後のAR、ホログラフィー技術の発展が期待されます。
スポンサーリンク